2月5日、宇都宮市内にて連合栃木と共催で定例開催している「政治活動研修会」を開催した。

昨年の衆議院選挙から目まぐるしく変化する政局について『今後の政治情勢』と題し、角谷浩一氏が講演を行った。

参加した約50名は、民進党、立憲民主党、希望の党の内情や情勢、自民党の思惑について詳細に語る角谷氏の講演に聞き入った。

角谷氏は「自民党は今年の総裁選以降、2021年まで先のことが描かれている。しかし、民進党を含む野党は、3か月後も見えていない」と指摘。今後選挙を戦うにあたり、有権者の取り込み方や組織としての支援の在り方を助言した。

参加者からはメディアの報道姿勢に対しての意見や有権者に対する広報戦略への質問が出された。

講演する角谷浩一氏

講演に聞き入る参加者

民進党栃木県連は、2月4日、「第5回民進党とちぎ政策研究会」を開催した。

参加者約50名は、福祉政治論を専門とする中央大学法学部の宮本太郎教授による講演から、社会問題となって久しい子どもの貧困問題や社会保障の今後の在り方などを学んだ。

「貧困の連鎖はいつかあなたをも巻き込むかもしれない・・ 脱『格差社会』への戦略」と題した講演で宮本氏は、今後、日本の平均寿命は100歳を超え更なる長寿国となる一方、幸福感が広がらない社会になることを資料をもとに説明し、「広がらない理由は困窮化、孤立化、そしてエイジズム(年齢差別)が進んでいることに尽きる」と指摘した。

社会的支出の増大と困窮率の上昇なども要因し、現役世代の雇用や進学、さらには出産などの選択に悪影響を及ぼしているという。

宮本氏は「現役世代に対する高齢世代の割合が急速に増える日本で『支える』側と『支えられる』側の二分法では、今後対処する仕組みは作れない」と警鐘を鳴らした。

その対策として、「これまでの縦割りの生活保障ではなく、就労と居住において包摂され共生できる条件を確立することが必要」と説き、雇用の間口の拡大や勤労所得を補完する所得保障の創設、多世代・多世帯共生の住居、さらには国の住宅セーフティーネット制度の展開など今後、必要とされる取り組みを具体的に挙げた。

縦割りを超えて支援を目指す生活困窮者自立支援制度についても言及した宮本氏は、「だれもが転げ落ちない社会のかたちを作りあげなくてはいけない」と締めくくった。

講演する宮本太郎氏(中央大学法学部教授)

講演風景

知事(中央)に要望書を渡す県議団(左から、平木ちさこ県議、中屋大県議、松井正一県議、佐藤栄県議、斉藤孝明県議、山田みやこ県議、加藤正一県議、船山幸雄県議)

「民進党栃木県連(代表:福田昭夫衆院議員)」ならびに県議会会派「民進党・無所属クラブ(代表:佐藤栄県議)」は1月25日、県庁にて「2018年(平成30)年度 県当初予算及び政策推進に関する要望書」を県知事に提出した。

今回は新規5項目を含めた31項目を要望。

要望書の提出にあたり、佐藤栄代表は国の予算に触れ、「社会保障費が1300億円圧縮されてしまい、地方行政に与える影響が大きくなる」と懸念。そして、「県税収入の見込みは注視していかなければならないが、具体的な政策推進をしてほしい」と強く求めた。

2月6日、これらの要望について福田富一知事より回答を受けた。

知事は冒頭、現況について、「医療福祉関係経費の増加、新たな行政事業等の対応により財源不足が見込まれる中、自律的な行財政基盤の確立に取り組んでいる」と述べた。そして、「県税収入が増加する一方、地方交付税、臨時財政対策債は減少し、引き続き厳しい財政状況が見込まれているが、必要な財源を確保するために行革プランに掲げた財政健全化の取り組みを実行して行く」と説明した。

予算総額は、前年度当初予算に対して125億減の8034億円。実質的には前年度並みの予算規模。減少の大きな要因として、リーマンショックや東日本大震災の際に貸し付けた分の償還が進んだことによる継続貸付分の減(108億円減)とマイナス金利導入後の低金利による公債償還費の減(20億円)が挙げられた。

要望書の回答を受け取った後に行った記者会見で佐藤代表は「社会保障対策について、真正面から取り組む姿勢が見られなかったことが残念」と遺憾の意を示した。また加藤政調会長は、財源の確保について「増収を見込みながらも基金を110億円取り崩すことは、財政健全化といえるのか」と危惧した。

回答を受ける県議団(左から、中屋大県議、山田みやこ県議、松井正一県議、斉藤孝明県議、佐藤栄県議、加藤正一県議、平木ちさこ県議、船山幸雄県議)

記者会見を行う県議団

講演に聞き入る参加者

1月21日、民進党栃木県連は宇都宮市内で『民進党とちぎ政策研究会』を開催した。

第4回目となる今回は、慶應義塾大学経済学部の井手英策教授を講師とし、参加者約70名が今後の社会保障の在り方などについて学んだ。

井手氏は、財政社会学を専門とし、総務省や全国知事会等の各種委員のほか、朝日新聞論壇委員なども歴任。民進党のマニフェスト制作の中心的役割も果たした。

「なぜ私たちは引き裂かれるのか・・分断大国ニッポンが生まれ変わるための社会保障」と題した講演の冒頭、井手氏は『働かざるもの食うべからず』の『働かざるもの』は本来、『貴族』を意味する、との語源を紹介した。ところが現在の日本は、勤労せずに他人の厄介になることは恥と受け止める風潮があることに、「この社会の深い闇がある」と指摘した。

過去の可処分所得や家計貯蓄率、さらには経済成長率の推移を示したうえで、「経済成長に頼った自己責任型の社会では今後やっていけない」と問題提起した。

そのために井手氏は「全ての人々が利益を得られるような社会を目指すこと」とし、「税で未来の希望を作ることが必要」と訴えた。

欧州並みの消費税率にすることで、「医療、介護、教育等のサービスを誰もが平等に受けることができ、また、将来の不安から解放されることができる」と説いた。

また、井手氏自身の生い立ちを披露し、「生まれたときの運・不運で一生を決めさせては絶対にいけない」とし、「人間を助けるのがいい社会ではなく、助けられる人間がいない社会をつくるべき」と訴えた。

井手氏は、安倍政権が3度にわたり生活保護費の引下げを行うことにふれ、「最低限の生活を保障するのが“生活扶助”。この領域をどうしてせばめようとするのか」と憤慨し、「誰もが堂々と生きられる『尊厳ある生活保障』と人間の最後の自由の砦である生活扶助に住宅の保障を加えた『品位ある命の保障』が必要」と力説した。

講演する井手英策慶應大学教授

講演する井手英策慶應大学教授

約100名の参加者

12月10日、民進党栃木県連は宇都宮市内で第3回目の『民進党とちぎ政策研究会』を開催した。

今回は、法政大学法学部教授の山口二郎氏が、「抹殺された民主主義と憲法 漂流する日本政治の行方」と題する講演を行い、現在の国会情勢や野党の在り方、さらには立憲主義の大切さなど約80分間にわたり力説した。

山口氏は、政治過程論を専門とする。テレビや執筆で活躍するほか、当時、民主党の政策ブレインとして支え続け、2009年の政権交代を自右舷させた。2014年には憲法学者や政治学者らと『立憲デモクラシーの会』を立ち上げ、今も共同代表として立憲主義の崩壊を食い止める市民運動を精力的に行っている。

山口氏は、二大政党制を確立するため挑戦したきた自身の人生で、一番挫折感を味わったのが先の総選挙での『民進党』と『希望の党』の合流だったと振り返った。この合流は「呉越同舟で希望的観測に過ぎなかった」と切り捨て、「同時に今日まで築き上げてきた野党の連携を台無しにしてしまった」と嘆いた。

このことは結果として、国家を私物化する安倍政権の延命にも繋がってしまった。

「人を支配することであるものをなかったことにできる。現在、政府内部で規律が崩壊し、政府の外に対する権力の濫用が頻発している」。山口氏は安倍政権によって、国家の私物化がより顕著になったと危険視する。

もう一度政権交代を実現するために、「安倍政治に対抗する穏健保守、リベラル、革新勢力の大結集が必要。究極の理想より5年先の日本を立て直す政策を共有すべき」と説いた。

また、新たな政党モデルの構築も必要とし、市民参加による政党運営や地域組織におけるプロとアマの結合、さらには地方選挙への取組みがそのカギとなることを訴えた。

山口氏は外交、安保法制以前の自衛隊や安保体制を容認すること、そして中負担、中福祉の社会保障の合意を得ることが「乗り越えないといけない難題」だと示し、こう締めくくった。「できないと諦めていることを実現するのが政治である」。

講演する山口二郎法政大学教授

講演する山口二郎法政大学教授

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